mattintosh note

どこかのエンジニアモドキの備忘録

フィギュア撮影用ソフトボックスを作ってみた(バックライト編)

フィギュア撮影用ソフトボックスを作ってみた(バックライト編)

先月作った自作ソフトボックス二号機(バックライト用)の作業工程です。

前置き

「格好いい白背景の写真撮りたいな〜」と常々思ってはいたのですがスペースの関係でなかなか出来ず。

フィギュア撮影で背景を明るくしたい場合、普通に順光や斜光で照らすとフィギュアの方が手前にあるため同じ素材であればフィギュアの方が先に白飛びしてしまいます。なので白バックで背景を明るくしたい場合は何かしらの工夫をしなければなりません。

背景の白を飛ばす方法を「白飛ばし」とか「白バック飛ばし」と言うみたいですね。

方法としては、

  • 背景用に照明を別途用意する
  • 背景を斜めに垂らして直上から背景寄り(フィギュアの後ろから背景の間あたり)を照射する

などがありそうです。

こちらの Nipper さんの記事が参考になります。ガンプラではよく白背景見かけますね。

nippper.com

他にもこちらを参考にさせていただきました。

blog.enjoycamera.jp

panproduct.com

背景をトレペなどにして後ろからフラッシュを当てる方法も見かけた気がするのですがどこで見たんだか忘れてしまいました。 いつも色々と勉強させてもらっている鈴木さんの動画でした。

【商品撮影】黒締めの役割とやり方【輪郭の強調・照り返しの調整】|写真撮る人鈴木遥介 - YouTube

四角いタイプの 60 cm くらいのソフトボックスを持っている人はそれを背景として使えるんじゃないかな?

白背景のライティングが綺麗だなと思ったのは HOTVENUS さんの宣材写真を見たときです。これは多分テーブルと背景の間に空間があってその下から照らしているんじゃないかなと思うんですが。

ただ、うちの撮影環境の場合はいずれの方法もスペースがそんなにありません。一番できそうなのは背景用に照明を用意する方法ですがフィギュアと背景の間にスペースを撮ることが出来ないためこれもちょっと難しいです。

そこで、省スペースでも使えるソフトボックスを自作することにしました。これはラウンドフラッシュやスピードバウンスからアイデアを得ました。

材料の用意と寸法を計算する

まずは素材を切り出せる大きさのスチレンボードを用意します。通販でも買えます。パネルデポさんが取り扱いが多いかな?

panel-depo.jp

私は御茶ノ水の有名な画材屋さん「レモン画翠」さんで A2 サイズを購入しました。(なぜ買った店まで説明しているかと言うと、同じ A2 というサイズでも買う場所によって微妙にサイズが異なるからです)

「発泡スチロールの板」というと何種類かありますが素板(発泡スチロールそのまま)よりは上質紙が貼ってある方(商品名で言うとポップコーア)が良いです。素板の場合、フラッシュの光が貫通します。耐久性的にも上質紙が貼ってある方が少し強かったり、厚みの半分まで切って折り曲げたりとかもできます。しかも紙があってる方が安かったりします。厚みは 5mm 以上あれば良いと思います。

紙が貼ってないタイプになるのですが一時期全国的に欠品していたダイソーの B2 サイズくらいのが 100 円でまた買えるようになったみたいなので試作品を作るならこれが良いかもしれません。(光が貫通するのでアルミホイルを併用する必要があります)

カラーボード(黒・白アソート、450mm×840mm) | 【公式】DAISO(ダイソー)ネットストア

一番大きい発光部となる部分を基準に 1 枚のスチレンボードから切り出せるようアプリケーション上でサイズを計算します。正方形が扱いやすいかなと思ったのですが、1/7〜1/6 スケールの縦長のフィギュアを撮ることが多いので今回は出来るだけ材料を余らせないように若干縦長にしました。図面の作成には Inkscape を使っています(もちろん紙に書いて計算しても OK)。厚みを忘れずに考慮しましょう。ちなみに最初に作った図面は 1 灯仕様だったんですが、イマイチだったので端材で 2 灯仕様に変えています。あと、下記の図面は若干間違っているので参考ということで…。

仮組みとテスト

ひとまず仮組みで発光具合を確認してみます。

トレーシングペーパーを貼ってテストしてみます。

発光量とか全然考えてませんが試作品としてはとりあえず良さそうです。

バックライトの分が陰になってしまうのでキーライトも追加してテストしてみました。

調整

光漏れ対策に内部にアルミホイルを貼っていきます(もしかしたら貼らない方が柔らかい表現になるかもしれない)。また、フラッシュの発光部分の横からの光漏れを防ぐために端材を使って差込口にフードを作りました。

アルミホイルは後日貼り直して光量のムラが目立たなくなるようにシワを入れました。

ちなみにアルミホイルはこういう定規を使うと綺麗にカットできます。

試験

ある程度組み上がったので色々撮ってテストしてみました。

概ね悪くない結果ではあるのですが 1 灯なのでどうしても光量の偏りが気になる結果となりました。

なお、LED ライトでも試してみましたがまぁこれはこれで悪くは無さそうです。

改良

これまた端材を利用して反対側にもう 1 灯フラッシュを追加して 2 灯にしてみることにしました。

左右対称になったおかげで光量の偏りは気にならない程度になりました。

反省会

とりあえずフラッシュを 2 灯使用する仕様なのですがちょっとコスパが悪い…。あとフラッシュを地面に設置しているので上の方まで綺麗に光が回っていませんね。これはこれでいい感じのグラデーションが出ているとも言えます。最初は真上から一本で行おうと思ったのですが転倒が怖かったのでサイドからにしたんですね。

この日以降のフィギュアレビューからテスト運用をしていますが被写体そのものの印象が伝わるのでレビュー用としては良さそうです。

グッドスマイルカンパニー ねんどろいど ウマ娘 プリティダービー ダイワスカーレット
グッドスマイルカンパニー ねんどろいど ウマ娘 プリティダービー ダイワスカーレット

https://mattintosh.hatenablog.com/entry/20230422/1682107292mattintosh.hatenablog.com

アルターのホノルルのレビューでは通常の撮影に加えて切り絵を用いたネオンライトの表現もやってみました。

アルター アズールレーン ホノルル 軽装Ver.アルター アズールレーン ホノルル 軽装Ver.
アルター アズールレーン ホノルル 軽装Ver.

https://mattintosh.hatenablog.com/entry/20230525/1684958498mattintosh.hatenablog.com

フラッシュ(Godox TT600)の金額が 8,400 円でそれが 2 灯必要になりますが、ソフトボックス自体の材料費はテープ代なんかも込みで 800 円くらいでした(トレペ代はロールが家にあるので含んでません)。次のバージョンでは光量のムラを無くしたいところですがいまのところアイディアが思い浮かばないのでしばらくこれを使い続けることになりそうです。

白飛ばしを行う場合、後ろからの光の光量によっては被写体に回り込んできてしまうため被写体や表現によっては「黒締め」というものを行います。ただ、フィギュアの場合はいい感じにリムライトっぽくなるので個人的には黒締めはしなくてもいいかなと思っています。

次回はリムライト用ソフトボックスの紹介の予定です。